広島高等裁判所 昭和42年(う)108号 判決 1967年10月30日
本店所在地
広島県三次市十日市町二二〇〇番地ノ九
商号
株式会社 原田興行社
右代表取締役
原田ツ子コ
右の者に対する法人税法違反被告事件について昭和四二年三月二日広島地方裁判所が言渡した判決に対し、被告人から適法な控訴の申立があつたので、当裁判所は検事伊都博関与のうえ審理をして、次のとおり判決する。
主文
原判決中被告人会社に関する部分を破棄する。
被告人会社を罰金三五〇万円に処する。
理由
弁護人開原真弓の控訴の趣意は記録編綴の控訴趣意書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
所論は原判決の量刑は著しく重きに失し、不当であるというにある。
そこで証拠によつて検討するに、なるほど本件所犯においては、税額算定の基礎となつた申告所得額と実際の所得額に大差があつて、逋脱税額も多額に上り犯情不良な点もあるが、被告人会社は本件検挙の後、すでに
脱税額の外に、重加算税、延滞税合計五五一万円余及びこれに伴い納付すべき地方税等も完納して居り、徴税の目的は達せられていること並ばにこの種事犯に対する一般量刑の実例など考え合わすと、原判決の被告人会社に対する量刑は、不良な前記犯情を考慮に容れてみても、なお重きに失し破棄を免れないものと考える。論旨は理由がある。
よつて刑訴法第三九七条第一項、第三八一条に従い原判決中被告人会社に関する部分を破棄し、同法第四〇〇条但書により当裁判所においてさらに判決する。
原判決の確定した事実を法律に照らすと、第一、第二の各事実は昭和四〇年三月三一日法律第三四号附則第二条、第一九条、同法による改正前の第五一条第一項、第四八条に各該当するところ、右各事実は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第二項に従い、法定の罰金の合算額の範囲内において、被告人会社を罰金三五〇万円に処すべきものとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 幸田輝治 裁判官 高橋正男 裁判官 浅野芳朗)